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最高裁判所第一小法廷 平成4年(行ツ)129号 判決

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別紙当事者目録記載のとおり

右当事者間の福岡高等裁判所昭和六一年(行コ)第三号行政処分取消請求事件について、同裁判所が平成三年一二月二六日言い渡した判決に対し、上告人らから全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人佐伯静治、同立木豊地、同槇枝一臣、同秋田瑞枝の上告理由第一章、第二章について

地方公務員法三七条一項が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和四四年(あ)第一二七五号同五一年五月二一日大法廷判決・刑集三〇巻五号一一七八頁)、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

同第三章について

原審の適法に確定した事実関係の下において、本件各争議行為の当時、地方公務員の労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を果たしていなかったということができないことは、原判示のとおりであるから、右代償措置が本来の機能を果たしていなかったことを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は採用することができない。

同第四章について

原審の適法に確定した事実関係の下において、本件各懲戒処分に裁量権の濫用がないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官橋元四郎平の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

上告理由第一章、第二章についての裁判官橋元四郎平の補足意見は、次のとおりである。

地方公務員法三七条一項の規定と憲法二八条との関係についての私の見解は、最高裁昭和六一年(行ツ)第三三号平成四年九月二四日当小法廷判決において私の補足意見として述べたとおりであるから、これを引用する。

(裁判長裁判官 小野幹雄 裁判官 大堀誠一 裁判官 橋元四郎平 裁判官 味村治 裁判官 三好達)

〈別紙〉

上告人 籔田保昭

上告人 木部義昭

上告人 山田弘司

上告人 有元之雄

上告人 柳原桂一郎

上告人 井上髙志

上告人 廣田仁義

上告人 荒木靖一

上告人 池末昌子

上告人 畑邊芳郎

上告人 奥武良正

上告人 加藤文樹

上告人 田中信而

上告人 上野広精

上告人 小野逸郎

右一五名訴訟代理人弁護士 佐伯静治

立木豊地

槇枝一臣

秋田瑞枝

被上告人 北九州市教育委員会

右代表者委員長 上原勇策

右指定代理人 波多野敏之

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